theater
 現在使用しているAVアンプ,pioneerのVSA-AX4AViは, 4ヶ月程前に導入したもので,DVDオーディオやSACDが伝送できるi.linkや,音声デコードもできるHDMIが装備 されていて,おまけにアナログの映像信号も,アップコンバートしてHDMIから出力もできる機能が付いており, 機能的には便利だったのですが,アンプとしての性能には,やはり価格なりの限界もあり,私の愛用スピーカー, B&WのNautilus800シリーズを及第点まで駆動する には,やはり力不足のようでした。特に,サブウーファーを加えてからというもの,なぜかノイズもたくさん載 るようになってしまい,私的に,このアンプの実力に疑問符が付いてしまいました。

 本当は,かないまるのホームページ を主宰している氏が,今年末に発表するであろう次期作アンプを導入するつもりだったのですが,とりあえず氏 の設計モデルに買い換えることにしました。選んだ機種はTA-DA7000ES。DVDプレーヤーDVD-A11とi.linkで音声 伝送ができ,デジタルアンプs-masterPROを搭載したモデルです。VSA-AX4AViと比較すると,

モデル名 HDMI音声デコード 自動音場補正機能 ビデオ信号のHDMI変換 i.linkフロー制御
pioneer VSA-AX4AVi
sony TA-DA7000ES × × ×

といった感じで,機能的にはやや古いのですが,HiVi誌のベストバイでもVSA-AX4AViよりTA-DA7000ESの方に 高い点数が入っており,巷の評判もすこぶる良いです。
 まあ,ブルーレイやHD-DVDをすぐに使用するわけでもないので,HDMI音声デコードはとりあえずは必要ないし, 自動音場補正機能は音の鮮度が落ちるので使用していなかったので,私的には無くても全然問題ないし,HDMIのビ デオアップコンバートは確かに便利でしたけど,HDMIのない機械はコンポーネントケーブルで繋げばいいので,そ んなに大きな問題ではない。i.linkフロー制御については,パイオニアのアンプとデノンのプレーヤーの組み合わ せでは動作しないことはネットでも有名で,我が家でも例に漏れず,動作していなかったので,ソニーに変えて動 作するかどうか,楽しみなところです。

TA-DA7000ES
 やってきたTA-DA7000ESは幅430mm,高さ175mm,奥行450mmで,AVアンプとしては標準的な大きさですが,持って みるとズシリと重い。公称重量は24kgになっており,VSA-AX4AViは16kgそこそこでしたから,同じ価格帯のアンプ ですけど,物量の差は予想以上に大きそうです。また,前後左右が万遍無く重量バランスがいい。今まで所有して いたAVアンプは,これで5台目になります(随分買い替えたな(^^;)が,今までの4台は,トランスが載っている 部分のみが重量があり,みな左右の重量バランスが悪かったのです。ピュアオーディオ用アンプ並の造りこみの良 さが,私の期待を膨らませてくれました。

リアパネル
 早速セッティングです。接続するのは2台のDVDレコーダー,DVDプレーヤー,CDトランスポート,CS-PCMチュー ナーの計5台。2台のDVDレコーダーはTOS光リンクに繋ぎ,DVDプレーヤーはi.linkを使用,CDとCS-PCMは同軸デジ タルで接続しました。DVDレコーダーの1台とDVDプレーヤーはHDMIも接続して,ビデオセレクターとしても使用し ます(HDMIの単体セレクタを持っていないので。)。スピーカー端子は, かないまるのホームページによれば, 音質を吟味した端子が採用されているとのことなので,敢えてバナナプラグを用いず,裸結線としてみました。 またAVアンプの初期設定は以下のとおりです。

スピーカー種別 大きさ 距離 レベル補正
フロント(Nautilus803) ラージ 1.9m ±0dB
センター(NautilusHTM) ラージ 1.8m +2dB
サラウンド前(Nautilus805) ラージ 1.1m ±0dB
サラウンド後(Nautilus805) ラージ 1.1m ±0dB
サラウンドバック(Nautilus805) ラージ 1.4m ±0dB
サブウーファー(SX-DW7) 1.8m +10dB

 基本的に,VSA-AX4AViの測定データをそのまま入力しています。サブウーファーのレベル補正は,スタンバイモード を回避するため,敢えて最大レベルに持ち上げて伝送しています。
 また,サブウーファー導入記に記した,VSA-AX4AViで気になっていたノイズが,このアンプ では殆んど発生しないことを,特に付け加えておきます。勿論,スピーカーの近くで耳を傾ければ僅かには聞こえます が,どんなにケアしてもこれ位は出るだろうというレベルで,全く無いと言っても差し支えないレベルだと思います。

 さて,肝心の音ですが,いやはや,素晴らしいです。オーディオ評論家的な言い方になってしまいますが,とてもS Nが高いようで,静寂の中から音楽が聴こえてくる様は,正にピュアオーディオのそれです。以前にアキュフェーズ社 のセパレートアンプを愛用していたことがありますが,音の傾向はよく似ていて,音の鮮度やくっきりとした輪郭は, こちらの方が上と言えそうです。楽器の質感は,さすがにそこまでのレベルではないですが,今まで使用したAVアン プとは比較にならないレベルであることは確かです。苦労して揃えた,9本のノーチラス800シリーズが,始めて朗々 と鳴りだしました。以前はノイズが乗っていて,イマイチ良さの判らなかったコーラスのSACDも,このアンプに替 えて,初めて鳥肌が立つほどに荘厳で,綺麗な録音であることが判別できました。
 また,VSA-AX4AViとの組み合わせでは動作しなかったフロー制御も,問題なく動作するようで,これもウレシイ限り です(^_^)v。

 この買い替えは大成功と言えそうです。私は以前,STR-VZ555ESというソニー製のAVアンプを愛用していて,今回 はそれ以来だったのですが,ソニーのAVアンプはスゴイことになっていました。DAコンバーターが直接スピーカーを 駆動していると考えれば,経路がシンプルで,クリアな音質も納得がいきますし,配線が多くてノイズの入りがちなホ ームシアターでは,デジタルアンプは大きなアドバンテージを持っているようですね。発売から2年経ってしまってい るので,機能的には若干劣りますが,作りもしっかりしていて,信号にノイズが混入されない等,カタログに現れない 基本性能が非常に優秀なこのアンプは,激しくオススメできます。巷の噂は本当でした。こんなに良いなら,もっと早 く導入したかったなぁ,と思いつつ,このレポートを終了させていただきます。